辛口の日本酒は甘くないすっきりとした味わいで人気が高く、プレゼントとして贈るのにもおすすめです。
しかし、辛口の日本酒は奥が深く、選ぶ際に迷ってしまう人もいるでしょう。
この記事では選び方のコツも含め、辛口の日本酒の楽しみ方を解説します。
- 白鶴酒造オンライン編集部
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日本酒の辛口とは?どんな味?
辛口の日本酒は幅広い層から人気ですが、ひとくちに「辛口の日本酒」と言っても、味や特徴はさまざまです。
まずは日本酒の「辛口」がどのようなものなのかを解説します。
辛口の日本酒は甘くないドライな味わい
日本酒の甘口・辛口には糖分が大きく関係しています。
糖分が比較的多く含まれる「甘口」は甘みを感じやすいのに対して、「辛口」は糖分が少なく甘くない日本酒です。
言い換えると、甘口でない日本酒が辛口ということになります。
日本酒における「辛口」は、唐辛子やスパイスなどのような刺激的な辛さや塩辛さを意味するのではなく、キレがありドライな味わいを意味します。
糖分がしっかりアルコール化されるほど辛口に!
辛口の日本酒ができる過程に着目してみると、甘口の日本酒との違いがより分かりやすくなるでしょう。
日本酒ができる工程では、まず米に含まれるデンプンが麹の働きにより糖化され、糖分が生成されます。
その糖分は酵母によりアルコールに変わります。
このアルコール発酵が活発に行われると、より多くの糖分を消化してアルコールが生成されるため、日本酒は辛口寄りになります。
逆に、消化しきれない糖分が多く残っているほど甘口寄りになります。
日本酒の辛口が唐辛子のような辛味ではなく、アルコールのドライさであるのはこのためです。
日本酒が辛口に感じられる要素
日本酒の甘口・辛口を決定づけるのは糖分の量ですが、それ以外にも様々な要素が複雑に絡み合って味わいが決まります。
好みの辛口に出会うためには、単に「辛口」というだけでなく、どのような辛口が好みに合うのかを知っておくことも重要になってきます。
ここからは、日本酒を辛口に感じさせる要素について解説します。
日本酒度
日本酒度とは、日本酒の甘さ・辛さを決める代表的な指標で、糖分の量を数値化したものです。
日本酒に含まれる糖分が少ないと水よりも軽くなり、日本酒度ではプラスで表されます。
逆に糖分が多いと水よりも重くなり、日本酒度はマイナスの値になります。
一般的にプラスの値が大きいほど辛口の度合いが上がると言われていますが、同じ日本酒度の日本酒でも他の要素との組み合わせによって味の感じ方は変わってきます。
酸度
酸度は日本酒の酸味・旨み・濃淡などに影響する指標で、コハク酸・リンゴ酸・乳酸・クエン酸・酢酸などの酸の量を数値化したものです。
日本酒が辛口に感じられるかどうかには酸度も大きく関わっています。
酸は日本酒の味を引き締めてくれるため、酸が多く含まれると日本酒にはキレや重厚感がでます。
同じ日本酒度の場合、酸度が高い方がキリッとした辛口に感じる傾向があります。
アミノ酸度
アミノ酸度は日本酒に含まれるアミノ酸の量を数値化したもので、コク・旨み・苦味などに影響します。
日本酒に含まれるアミノ酸が多いと、コク深い芳醇な味わいに感じられます。
反対に、アミノ酸が少ない日本酒は淡麗でシャープな味わいになります。
アミノ酸度の低い日本酒は、後味がすっきりとしている分、辛口寄りに感じる人が多いでしょう。
その他の要素
日本酒の甘口・辛口にはアルコール度数や渋み・苦味などの要素も関係しています。
日本酒はアルコール度数が高いほど辛口に感じやすくなります。
これは、日本酒に含まれるアルコールに苦みや揮発物質としての刺激があるためで、アルコール度数が高いほど口の中で刺激を感じやすくなり、辛口に感じられる傾向があります。
加えて、アルコールは水に対する比重が小さいので、アルコール度数が高いと日本酒度もプラスの値になります。
さらに、発泡感や香り、飲むときの温度など、あらゆる要素が絡み合って味の感じ方が決まるため、「辛口」と感じる味わいは実に多様です。
辛口の日本酒の味わいを特徴別に解説!
辛口の日本酒と言っても、様々な特徴があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
実際、細分化していくとキリがないほど多様なタイプの日本酒がありますが、わかりやすいタイプ分けとして「淡麗辛口」と「濃醇辛口」があります。
ここでは、それらの特徴別に辛口の日本酒の味わいを解説します。
淡麗辛口
一般的に、日本酒度がプラスで酸度が低めの日本酒が淡麗辛口に分類されます。
酸やアミノ酸が少ない日本酒はすっきりとした淡麗な飲み口になります。
淡麗辛口の日本酒は、辛口でありながらもマイルドな口当たりです。
飲みやすく、合う料理の幅も広いので、多くの人から好まれています。
濃醇辛口
日本酒度が高く酸度も高めの日本酒は、濃醇辛口タイプにあたります。
このタイプには、酸が多くどっしりとした重厚感のあるものや、アミノ酸が多めでコク深く芳醇なものなどがあります。
濃醇辛口の日本酒は、しっかりとした濃厚な飲み口で、かつ甘くないのが特徴です。
口に入れた瞬間に力強い旨味が広がり、しっかりとした余韻が最後まで楽しめます。
超辛口
辛口の日本酒の中でも特に辛口のものは超辛口と呼ばれ、日本酒度が+10を超えるものが一般的です。
超辛口の日本酒は糖分が少ない分、特にキリっとしたキレのある味わいになります。
辛口の日本酒に合うおつまみ
辛口の日本酒を存分に楽しむには、合わせるおつまみも重要です。
相性の良いおつまみを合わせることで日本酒の良さが際立ち、さらに、おつまみもより美味しく感じられます。
この章では、辛口の日本酒と相性の良いおつまみについて解説します。
あっさりとしたシンプルなおつまみ
素材の味を生かしたあっさり系のシンプルなおつまみは、辛口の日本酒とよくマッチします。
枝豆や、白身魚の刺身、豆腐などがその例です。
そういったシンプルで主張の強すぎないおつまみは、すっきりとした淡麗辛口の日本酒に合わせると双方の繊細な味が活きます。
塩味の効いたおつまみ
塩、醤油、味噌などの塩味は辛口の日本酒と相性が良く、日本酒の旨みを引き出してくれます。
料理の塩味と日本酒のさっぱりとした味わいが合わさると、相乗効果で絶妙な美味しさが生まれます。
漬物や塩辛、魚の塩焼きなどは辛口の日本酒に特によく合います。
脂の多いおつまみ
脂っこい料理は、淡麗でキレのある辛口の日本酒と合わせることで飽きずに楽しむことができます。
中華料理や焼肉などのこってりした食べ物には辛口の日本酒を合わせることで、脂っこさが洗い流され、程よい余韻が口の中に残ります。
辛口の日本酒を選ぶコツは?プレゼントに選ぶ際のポイントも解説!
辛口の日本酒は多様な味わいがあるため、好みのものを見つけるのは難しいと感じている人もいるでしょう。
ここからは、自分好みの辛口の日本酒を選ぶコツについてご紹介します。
プレゼントとして選ぶ際のポイントも解説しますので、日本酒選びに迷ったときには参考にしてみてください。
日本酒度や酸度・アミノ酸度のバランスで選ぶ
辛口の日本酒の味わいは単独の要素では計れませんが、ラベルに書かれている日本酒度・酸度・アミノ酸度などのバランスを見ることである程度の味の予想ができます。
美味しいと感じたらラベルを見て自分好みのバランスを覚えておくと、それに近いものを探しやすくなります。
プレゼント用の日本酒を選ぶ際には、相手の好みに合いそうなものを前もってリサーチしておくと良いでしょう。
タイプや種類で選ぶ
辛口の中でもどのようなタイプの味わいが良いか決まっていると、日本酒は選びやすくなります。
香り高いもの、重厚感のある味わいのもの、味のキレが良いもの、などというように「辛口」という以外に決め手があると、それに添った日本酒選びができます。
爽快感を楽しみたければ発泡性タイプ、燗で楽しみたければ燗上がりする純米酒や本醸造酒というように、ポイントを絞ればそれに合うものを見つけやすくなるでしょう。
プレゼントに選ぶ際には、華やかさや高級感のある辛口の大吟醸酒などもおすすめです。
産地で選ぶ
米と水からできる日本酒の味には地域性が表れるので、造られた地域に着目して選んでみるのも良いかもしれません。
地域によって使用する米の品種や水の特性が異なることから、同じ辛口の日本酒でもそれぞれの特色があります。
例えば、新潟県の日本酒はキレのあるシャープな淡麗辛口に代表されます。
また、兵庫県はキレとコクを兼ね備えた力強い濃醇辛口が有名です。
このように、日本酒の土地柄に目を向けてみるのも日本酒のひとつの楽しみ方です。
飲むシチュエーションや目的で選ぶ
シチュエーションや目的によっても、飲む日本酒を変えていろいろな味わいを楽しんでみてください。
スーパーなどで売られていて比較的安い価格設定の親しみやすい銘柄は晩酌酒にぴったりですし、特別な日やプレゼントには少し背伸びして高級感のあるものを選んでみるのも良いでしょう。
場面や気分によって日本酒はさまざまな表情を見せてくれるので、楽しみ方は無限に広がります。
辛口の日本酒を堪能しよう
いかがでしたか。
辛口の日本酒の奥深さを感じていただけたでしょうか。
辛口の日本酒は甘くないドライな味わいで、日本酒好きの中には辛口を好む人も多くいます。
人気の高い辛口の日本酒はプレゼントとしてもおすすめです。
辛口の中でも様々な味わいのものがあるので、この記事を参考に、好みやシチュエーションに合わせて選んでみてください。
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