「純米酒」は日本酒の中でも「特定名称酒」に分類されます。
純米酒にはどのような特徴があり、「吟醸酒」や「本醸造酒」などと比べてどのような違いがあるのか気になる人も多いでしょう。
この記事では、純米酒にスポットを当てて、特徴や他の特定名称酒との違い、おすすめの飲み方などを解説します。
- 白鶴酒造オンライン編集部
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「純米酒」の日本酒の中での位置付けは?
「純米酒」とは、日本酒を原料や造り方などによって種類分けしたうちのひとつです。
日本酒の中でもたくさんの種類がありますが、どのように種類分けされているのか、そして、その中で純米酒がどのような位置付けなのかを解説します。
日本酒の定義と種類
酒税法上では、米と米麹と水を発酵させてできた醪(もろみ)をこして造られるお酒を「清酒」と呼びます。
「日本酒」は、清酒の中でも原料である米・米麹に日本国内産米のみを使用し、日本国内で醸造したもののみを指します。
これは、国税庁の「地理的表示(GI)保護制度」で定められています。
そのため、海外産の米を原料に使用した清酒や海外で醸造した清酒は「日本酒」に含まれません。
ここでは「日本酒」を対象に、酒税法上の種類について説明していきます。
日本酒は大きく分けて「特定名称酒」と「普通酒」に分類されます。
特定名称酒
「特定名称酒」とは、原料や精米歩合、造り、できたお酒の香味・色沢など、一定の条件を満たした日本酒のことで、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で定められています。
主に、「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」の3タイプに分けられ、その中でも一定の基準をもってさらに細かく枝分かれしていきます。
「純米酒」は、米・米麹・水のみを原料にして、醸造アルコールを添加することなく造られた日本酒で、香味や色沢が良好なものを指します。
「吟醸酒」は、精米歩合60%以下の米・米麹・水と原料米総重量の10%以下の醸造アルコールを原料とし、吟醸造りで醸された日本酒の中で、固有の香味や色沢が良いものであることが要件です。
「本醸造酒」は、精米歩合70%以下の米・米麹・水と原料米総重量の10%以下の醸造アルコールを原料にして造られた日本酒のうち、香味や色沢が良好なものとされています。
また、特定名称酒に分類されるためには、農産物検査法によって3等以上に格付けされた玄米またはこれに相当する玄米を精米した白米を使用しなくてはならない、麹米の使用割合(白米の重量に対する麹米の重量の割合)が15%以上でなくてはならないなどの規定もあります。
普通酒
特定名称酒に分類されない日本酒は「普通酒」と呼ばれます。
普通酒の中には、スーパーやコンビニエンスストアで紙パックで販売されているものや安い価格設定のものも多くあるため、手に取りやすく親しみやすいイメージがあります。
しかし、普通酒の魅力は親しみやすさだけではありません。
特定名称酒でないとはいえ、メーカーのこだわりが詰まった普通酒の銘柄も多くあり、そのメーカーのカラーや美味しい日本酒を人々に届ける工夫を如実に反映しているのが普通酒です。
日本酒の種類についての詳しい解説はこちら
「日本酒の種類は何がある?初心者の方におすすめのお酒も紹介」
純米酒の特徴は?
ここからは「純米酒」に焦点を当てて、その特徴を見ていきます。
たくさんある日本酒の種類の中で、純米酒にはどのような特徴があるのか、原料や製造方法にも着目して解説します。
原料・製造工程
先述した通り、純米酒は米・米麹・水のみを原料とする日本酒です。
吟醸酒や本醸造酒は、製造工程において香りや味を調整する目的で醸造アルコールが添加されます。
それに対して、純米酒は醸造アルコールが添加されていません。
味わいや香りの特徴
シンプルな原料からなる純米酒は、米本来の旨味やコクが強いのが特徴です。濃醇な味わいやふくよかな香りを楽しむことができます。
また、純米酒は醸造アルコールを添加した日本酒に比べて、蔵ごとの個性や米の味の特徴がよりはっきり表れます。
醸造アルコールを添加するメリットは華やかな香りが高まりすっきりした味わいに調整される点にありますが、純米酒はその調整を経ないため、米の旨みが薄まることなくしっかりと感じられ、ごまかしの効かない日本酒であるとも言えるでしょう。
精米歩合や使用される米の種類によっても、味わいに異なる特徴が表れてきます。
純米酒の中でも種類分けがある?
純米酒に分類される日本酒の中でも、精米歩合や製造方法によってさらに細かく種類分けされます。
ここからは、純米酒系の日本酒の種類やそれぞれの特徴について解説します。
純米酒
「純米酒」は米・米麹・水のみを原料にした日本酒を広く指します。
現在は、純米酒を名乗るうえで精米歩合の規定はありませんが、3等以上に格付けされた玄米またはこれに相当する玄米を精米した白米の使用と、麹米の使用割合が15%以上であるという基準については満たす必要があります。
純米吟醸酒
「純米吟醸酒」の純米酒との大きな違いは精米歩合です。
純米酒の中でも、吟醸造りで醸された、精米歩合60%以下のものだけが「純米吟醸酒」と表記することが許されます。
吟醸造りとは、国税庁の定義によると「吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、粕の割合を高くして、特有の芳香(吟香)を有するように醸造すること」とされています。
吟醸香と言われるフルーティーで華やかな香りとクリアな味わいが吟醸造りの日本酒の特徴で、純米吟醸酒は米の旨みと吟醸香のバランスのとれた日本酒です。
純米大吟醸酒
「純米大吟醸酒」は、純米吟醸酒よりさらに精米歩合が高く、50%以下という規定があります。より時間と手間をかけて丁寧に磨かれたものが「純米大吟醸酒」になります。
原料の米を半分以下まで磨き上げて造られた純米大吟醸酒は、純米吟醸酒よりさらに雑味のないクリアな味わいになり、華やかな香りもより際立ちます。
米の旨みを活かしつつも、すっきりと上品で飲みやすい日本酒です。
純米大吟醸酒は、各メーカーの手間暇と技術を集結させて造られるため高級な傾向があります。
特別純米酒
「特別純米酒」は、純米酒の中でも精米歩合60%以下、または特別な醸造方法で造られ、香味と色沢が特に良好であることが条件です。
「特別な醸造方法」については特段の定めはなく、どのような醸造方法を「特別」とするかは製造元に委ねられています。
ただし、どこが特別なのかをラベルなどに表示しなくてはなりません。
「特別」に幅があるため、メーカーごとのこだわりや個性を映し出している純米酒が特別純米酒であると言えます。
純米酒のおすすめの温度や飲み方は?
純米酒は様々な温度帯が楽しめる日本酒でもあります。
日本酒は温度によって味わいが変わり違った表情を感じられますが、米由来の旨みの強い純米酒の良さが特に活きるおすすめの温度や飲み方をご紹介します。
上燗
熱めに温めることで日本酒の香りや味わいをより強く感じられるというのが上燗のメリットです。
熱めとは言っても、温めすぎると旨みを損なう可能性があるので、45℃前後がおすすめです。
湯煎で温める場合は、沸騰したところで火からおろしたお湯に徳利を浸けて2分半〜3分ほど置いた頃が目安です。
また、徳利に入れた日本酒を電子レンジで温めることも可能です。
電子レンジで温める場合は、レンジ対応の徳利を使用し、数十秒ごとにレンジから出して振って中の温度を均一にしながら加熱すると良いでしょう。
ぬる燗
ぬる燗は日本酒のまろやかな旨味を感じることができる飲み方なので、純米酒の米の旨みを存分に活かしてくれます。
湯煎や電子レンジで、上燗より少し短めに温めた30℃〜40℃程度の温度がぬる燗にあたります。
温度が上がるのに比例して香りが膨らみ、米の風味や香りを強く感じられます。
冷や(常温)
日本酒を温めて飲む「燗」に対して、常温で飲むことを「冷や」と言います。
冷やは日本酒本来の味をストレートに感じ、もっとも日本酒の味の特徴が分かる飲み方です。
日本酒の中でも純米酒は特に冷やに向いていると言われており、純米酒のコク深い美味しさをありのままに感じられるでしょう。
冷酒
日本酒は冷やすことでクリアな飲み口が際立ち、すっきりと飲みやすくなります。
雑味のないクリアさが持ち味の純米吟醸酒や純米大吟醸酒は、冷やして飲むことでその良さが引き立ちます。
10℃前後の花冷えと言われる温度が、旨味を感じつつほどよく淡麗で、引き締まった味わいも際立つので特におすすめです。
コクや米の旨みを存分に味わえるのが純米酒
いかがでしたか?
日本酒の種類の中でも、純米酒にスポットを当てて特徴や飲み方を解説しました。
吟醸酒や本醸造酒と比較することで、日本酒の中での純米酒の位置付けもお分かりいただけたのではないでしょうか。
純米酒の良さは、米由来のコクや旨みを存分に感じられる点にあります。
食中酒にも適しており様々な料理と相性が良いので、食事のお供としても良さを発揮してくれます。
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余韻では果実香とビターチョコのようなやさしい香りが感じられます。
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