日本には「祝い酒」という文化があり、お祝いの際に日本酒を飲んだり贈り物として贈ることは縁起の良い行為だとされています。
この記事では、祝い酒の文化の背景から知っていて損はしない作法まで、祝い酒に関するいろはをご紹介します。
この記事を読めば、祝い酒を贈るときにも困ることなく祝意を伝えられるでしょう。
- 白鶴酒造オンライン編集部
白鶴酒造が運営する「白鶴オンラインショップ」の編集部。
メンバーは研究開発と商品開発を経験した2名で構成。
開発担当時に得た知識を活かして、日本酒のちょっとした知識や楽しみ方、季節にまつわる情報をご紹介します。
「日本酒に興味はあるけれど、なんだか難しい~!」という声を少しでもなくすべく、分かりやすい情報を発信していきます!
祝い酒とは何?
日本には古くから「祝い酒」という文化があり、おめでたいことがあるとお酒を贈りあったり飲んだりしてきました。
近年では西洋風にワインなどを贈ることもありますが、祝い酒といえば日本酒を贈るのが一般的であり、日本の伝統であると言えます。
祝い事といえばお酒というイメージは広く浸透していますが、なぜお祝いに日本酒がつきものなのでしょうか。
まずは、祝い酒にはどんな意味があり、どのようなときに飲むものなのか、祝い酒の基本知識を解説します。
祝い酒はいつ飲む?
祝い酒はおめでたいことや嬉しいことがあるときに飲んだり贈ったりするお酒です。
結婚、結納、誕生、長寿、新築、開店、昇進など、人生の節目となるようなお祝いの席には祝い酒が欠かせません。
祝意を示し喜びを分かち合うときには、伝統的に日本酒が飲まれてきました。
また、お正月に健康長寿や家内安全を願って飲むお屠蘇や、桃の節句で飲まれる白酒なども祝い酒の一種です。
祝い酒を飲むのはなぜ?
日本には元々、神様へ願いや感謝を込めて日本酒をお供えし、その後にお供えしたお酒を神様のお下がりとして祭事の席で飲む文化があります。
神様にお供えしたお酒には霊が宿り、それをお下がりとしていただくことでご利益があると信じられてきたことから、お祝いの席でお酒を飲むという行為は縁起の良いものとされているのです。
例えば、お正月やお宮参り、七五三、地鎮祭、結婚のお祝いなどの際には御神酒を神様に捧げる風習が深く根付いており、現在まで継承されています。
また、お酒を分け合って飲むことで「福を分かち合う」という意味もあり、お祝いの席でお酒を酌み交わす文化は、人と人との縁も繋いできました。
贈り物に祝い酒を贈る際の本数
祝い酒として日本酒を飲むことは縁起が良いとされていることから、日本酒はお祝いの贈り物にも適しています。
しかし、縁起物であるがゆえに、贈り物として日本酒を贈るときには形式やマナーに気を配ることが重要です。
お祝いの意がきちんと伝わり、気持ち良く受け取ってもらうためには、最低限のルールを頭に入れておく必要があります。
まずは、祝い酒を贈る際の本数に関するルールを解説します。
適切な本数は?
お祝いに日本酒を贈るときには、2本セットで贈るのが最も一般的です。
特に形式を重んじるような場面では、2本まとめて紐で縛った“2本縛り”で贈るのが縁起が良いとされています。
これは、お祝いの際に日本酒を角樽(つのだる)に入れて贈る風習からきており、2本の日本酒を縛ることで縁起の良い角樽にシルエットを似せることができるためです。
しかし、いつでも2本で贈らなくてはならないという決まりはなく、フランクな間柄であれば1本でもお祝いの気持ちは十分に伝えることができます。
贈る相手との関係性や祝い事の内容によって臨機応変に本数を決めると良いでしょう。
ただし、縁起が良くないとされる本数は避ける気配りが必要です。
贈り物にふさわしくない本数
祝い酒を贈る場合、ふさわしくないとされる本数があります。
日本では、4や9が「死」や「苦」を思わせる忌み数として忌避されるため、4や9の入る本数は避けるようにしましょう。
また、結婚に関する祝い事の際には、2で割り切れる偶数は縁起が良くないため、奇数の本数で贈るのがマナーです。
しかし例外もあり、先述した2本という本数は角樽を連想させることや、2本で一対となることから、めでたい結婚の席にふさわしいとされています。
8も末広がりで縁起が良いとされることもあります。
さらに、祝い事や祭事には土地ごとの風習も深く関係しているため、土地の習わしなどに従うことも大切です。
祝い酒につける熨斗(のし)のマナーは?
祝い酒として日本酒を贈る場合、日本酒の瓶を裸で贈るのは不躾であると捉えられてしまうこともあります。
気を使わない間柄であればカジュアルなラッピングでも構いませんが、目上の人に贈る場合や形式を重んじるフォーマルな場に持っていく際には、熨斗をつけるのが失礼や間違いのない贈り方です。
ここからは、祝い酒につける熨斗の作法について解説していきます。
熨斗のルール
熨斗とはのし紙の右上にある紅白の六角形の飾りのことを指します。
この飾りは、元々は鮑を薄く熨(の)して贈答品に添えたことに由来しています。
正式には熨斗をつけた掛け紙に水引を結ぶのが伝統的なマナーですが、現在では熨斗や水引がついていたり印刷されているのし紙が広まっており、そのようなのし紙を用いるのが一般的です。
お祝いで贈り物にのし紙をつける場合には、右上に熨斗のついたものを使うと良いでしょう。
熨斗の起源である鮑は長寿の象徴であり、末永く続くことが願われるようなお祝い事に適しています。
それに対して、弔事や病気見舞いには熨斗のついていない水引だけの掛け紙を使用します。
水引の種類やルール
水引とは、贈答品にかける紅白や黒白の飾りの帯紐のことで、用途によって色や結び方の使い分けがあります。
祝い事の際には、紅白の水引がついたのし紙をつけます。
長寿祝い、昇進祝い、合格祝い、出産祝いなどの何度あっても嬉しい祝い事の場合は、結び目が簡単に解けて何度も結ぶことができる蝶結びの水引が用いられます。
反対に、結婚祝いや快気祝いなど、一度きりであることが望まれるような祝い事には、一度結ぶと解けない結び切りの水引が適しています。
結び切りが発展したものだと言われる鮑結び(あわじ結び/あわび結び)も、解けにくく引っ張るほどに強く結ばれることから結婚などのお祝いにふさわしい結び方で、関西から西の地域では結び切りよりも鮑結びが一般的に祝い事で用いられます。
結び切りや鮑結びは、慶事だけでなく、繰り返さないことが望ましい弔事にも使われる結び方です。
熨斗紙の書き方・ルール
のし紙には、水引の上にお祝いの名目を表す表書き、水引の下に贈り主の名前を書き入れます。
表書きは「御祝」「御結婚御祝」「〇〇御祝」などと書くのが一般的です。
結婚祝いや長寿祝いなど、お祝いの中でも人生において特におめでたいとされる正式な祝い事では「寿」が使用されることもありますが、その使い分けは地方によっても異なります。
表書きや名前を書く際には毛筆や筆ペンを使用し、文字が熨斗や水引に被らないように注意する必要があります。
祝い酒の喜ばれる選び方
祝い酒を贈る際の基本的なルールを理解すれば、あとは日本酒を選んでお祝いの気持ちを込めて贈るだけです。
ここからは贈り先の人に喜んでもらえるような祝い酒を選ぶ時のポイントをいくつかご紹介します。
縁起の良い名前の日本酒を選ぶ
日本酒は古くから神事との結びつきが強く、酒造りにおいても神様との繋がりや縁起が重んじられてきました。
それにも関連して、日本酒には縁起の良い名前のものが多くあります。
日本酒を祝い酒として選ぶときには、そういった縁起の良い名前のものを選ぶのがおすすめです。
お祝いのシーンに合った名前の日本酒を選ぶことで、贈る側のセンスが光り、相手にもお祝いの気持ちがより伝わるはずです。
相手の好みの日本酒を選ぶ
贈った時に喜んでもらうには、相手の好みをリサーチした上で銘柄や味わいを選ぶことが大切です。
一口に日本酒と言っても、製法や原料などによって特徴が異なり、銘柄によっても味わいは様々です。
アルコール度数・日本酒度・酸度などたくさんの要素によって日本酒の味が決まるので、それらの特徴を踏まえて日本酒を選ぶことで相手好みのものを見つけることができるでしょう。
近年では、日本酒スパークリングも幅広い層から人気が高く、贈り物としてもおすすめです。
ラベルで選ぶ
相手好みの味わいの日本酒を探すのはハードルが高いという場合は、ラベルや瓶などのパッケージで選んでみるのも良いでしょう。
見た目で判断して良いのか疑問に思う人もいるかもしれませんが、ラベルは製造元が伝えたい商品のコンセプトやこだわりを反映していることが多いため、ラベルで商品を選ぶのもある意味では理にかなっていると言えます。
また、お祝いで貰ったものをしばらく飾っている人もいるので、見た目が美しいものや相手好みのデザインのものを贈ると、目でも楽しんでもらうことができます。
贈り物用のセットや包装つきのものを選ぶ
贈り物として贈ることを前提としたセット商品やギフトボックス入りで販売されている日本酒もあります。
そのような商品は、2本組で化粧箱に入っていたり、酒器とセットになっていたりする場合もあり、贈り物にふさわしい形で売られているため、自分で体裁を整える手間がかからず便利です。
マナーに自信のない人にとっても安心して贈ることができるのがメリットです。
熨斗をつける場合は箱の上からのし紙をつけると良いでしょう。
日本の伝統文化である祝い酒で喜びを分かち合おう
いかがでしたか?
日本酒はお祝いの場で飲んだり、めでたい日に贈ったりするのにふさわしい縁起物であるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
祝い酒は日本に古くから根付く文化であり、大切な人と喜びを分かち合う架け橋となってくれます。
贈り物として贈るときには、この記事で解説した作法に則って相手好みの日本酒を選べば喜ばれるに違いありません。
ピックアップ商品
灘本流の技が冴える、伝統の味わい。
飲むほどに親しみがわく、豊かな味わいの正統派「灘酒」です。
本醸造ならではの円熟した豊かな香りがあり、冷でもお楽しみいただけますが、寒い季節には燗で飲むのにぴったりです。
甘辛淡麗に偏りのない中庸タイプで、幅広い料理に合わせやすいお酒。
飲み飽きしないさらりと深い味わいの白鶴伝統の「うまし酒」です。
冷やでも燗でもお楽しみいただけますが、秋から冬にかけての季節には燗して飲んでいただくことをお薦めします。
酒造好適米を70%まで磨き上げ、時間をかけてじっくり醸造した特別純米酒。
縁起の良い金箔を加えているので特別な日のお酒としてピッタリです。
芳醇で風格のある逸品、洗練された味わいが特長です。
白鶴オンラインショップでは贈り物にぴったりの日本酒も取り揃えています。
日本酒で大切な人にお祝いの気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。